商標悪意登録行為を持続的に厳しく取締ることに関する国家知識産権局の通知

文書発行機関：商標局

文号：国知発弁函字〔2022〕54 号

作成日：2022-03-29

商標悪意登録行為を持続的に厳しく取締ることに関する国家知識産権局の通知

各省・自治区・直轄市と新疆生産建設兵団の知識産権局、四川省知的財産権サービス促進センター、国家知識産権局局機関の関係部門、商標局：

清廉公正な商標登録管理秩序は、知的財産権事業の高品質な発展を推進し、良好な革新環境と事業環境を醸成するための重要な基礎である。全国の知的財産権システムは、知的財産権事業に関する習近平総書記の重要な指示・論述を真剣に貫徹し、悪意による商標登録を厳しく取締まる強固な姿勢を常に保ち、悪意による商標先駆け登録行為に対する特別キャンペーンを集中的に展開し、悪意による商標買占め行為への取締りを常態化し、明らかな成果を遂げた。2022 年全国知識産権局局長会議の手配を更に実行し、「ゼロトレランス」の態度で悪意による商標登録行為を持続的に厳しく取締り、「部門協同、上下連動、社会共治」との新しいパターンを構築し、市場主体の合法的権益を保護し、社会の公共利益を維持し、わが国が知的財産権大国から知的財産権強国への転換の推進を加速するために、ここで関連事項について以下のとおりに通知する。

一、摘発重点を強化させ、典型的な行為を打撃する

更に国民の関心事項と社会世論の注目事項を重視し、「商標審査審理指南」に規定されており、使用を目的としない悪意の商標登録出願に関する若干状況に基づき、「商標の買占め」「有名ブランドへの便乗」「フリーライド」「人気話題への便乗」が顕著に現れる悪意による商標買占め及び商標の先駆け登録行為の摘発を強化し、誠実信用の原則に反し、公序良俗に背き、不正な利益を貪り、商標登録秩序を乱す以下の典型的な違法行為を重点的に取締まる。

（一）党の重要な会議、重要な理論、科学的論断、政治論述などと同一又は類似する標識を悪意により先駆け登録する場合；

（二）国家戦略、国家政策、重大プロジェクト、重大科学技術プロジェクト、高い知名度を有する重要なイベント、重要な展示会、重大な考古学的発見などと同一又は類似する標識を悪意により先駆け登録する場合；

（三）重大な公共衛生事件などの重大かつ敏感な事件や突発的な事件に係る特有な語彙を悪意により先駆け登録する場合；

（四）高い知名度を有する政治、経済、文化、民族、宗教などの公的人物の氏名を悪意により先駆け登録する場合；

（五）商標登録出願数量が明らかに正常な経営活動の需要を超え、真実の使用意図が欠ける場合；

（六）複数の主体が保有し、一定の周知性又は高い識別性を持つ商標又はその他の商業標識を大量的に複製、模倣、剽窃する場合；

（七）公共文化資源、行政区画の名称、商品又は役務の通用名称、業界用語などと同一又は類似する標識を大量的に出願する場合；

（八）商標を大量的に譲渡し、且つ譲受人が比較的に分散しており、商標登録秩序を乱す場合；

（九）商標代理機構が、委任者が上記行為を行っていることを知っている又は知るべきにもかかわらず、その委任を受けた場合又はその他の不正な手段で商標代理秩序を乱す場合；

（十）中国の商標登録管理秩序、社会の公共利益及び公共秩序に著しく消極的でマイナスの影響を与える状況があるその他の場合。

二、監視・早期警告を強化させ、正確識別を実現する

商標登録の全プロセスを通じて、使用を目的としない悪意の商標登録行為者の重点監視名簿リストを整備し、関連行為に従事する市場主体を重点的に監視し、悪意による商標買占め行為への取り締まりの精度を高くする。商標登録の使用禁止ワードデータベースとガイドワードデータベースを持続的に整備し、審査審理システムの識別・早期警告及び注意喚起・遮断機能を十分に発揮し、悪意による商標の先駆け登録行為の取締りの指向性を高くする。通報に基づいた検査、世論の遡及調査、投書陳情の徹底調査、データの逐一検査などの方法を総合的に利用して、悪意による商標登録行為の手掛かりを特定する。知的財産権保護情報プラットフォームの立案・構築の推進を加速し、インターネットと情報技術を十分に活用し、知的財産権に係る行政法執行、情報検査などのプロセスにおけるデータの障壁を打ち破り、商標代理の監督管理、信用失墜主体及びデータの管理、商標法執行の業務指導の効果を高くする。

各地方の知的財産権管理部門、商標審査協作センターは、その仕事において悪意による商標登録行為に従事する疑いのある市場主体を発見した場合、注意・制止を行い、関連する手掛かりを省レベルの知識産権局に提出する。当該省レベルの知識産権局は、それらをまとめて確認し、名簿を作成した上で国家知識産権局に報告・送付すべきである。

三、システムガバナンスを強化させ、法によって厳しく処罰する

関連する審査基準、処理規程及び手順規範を引き続き完善し、法律が付与した裁量権の範囲内で、悪意による商標登録を最大限に防止・規制する。重点監視名簿リストにある市場主体が商標業務を処理する場合、法に従って厳しく審査・審理しかつ実際使用の挙証義務を強化する。ボトムライン思考をしっかり確立し、重大な不良影響のある商標の管理・制御を強化し、合併審査、却下迅速化、職権による登録商標の無効宣告、通告・公開などの取締り措置を持続的に講じる。悪意の買占め商標の譲渡を制限し、譲渡しようとする商標の使用状況に対する前置審査を強化することで、その徒労無益化を図る。社会的勢力が商標登録秩序の源からの管理に広く参加するよう指導し、「公益的によるの 3 年不使用取消」の秩序がある展開を推進し、遊休商標資源を解放する。当事者の申立により、又は職権により確認された場合、申立人の経営範囲の所在する業界と商標の指定商品又は役務の項目の一貫性に対する照合・審査を強化する。悪意による商標登録が存在する事件の手掛かりを速やかに地方の知的財産権管理部門に転送するとともにその調査処理を指導し、地方の処理結果に対するフォローアップを強化し、地方の処理状況を行政保護の考課内容に盛り込む。

各地方の知的財産権管理部門は、違法行為を調査し、関係部門と共同で行政処罰を展開し、繰り返し実施される悪意による商標登録行為に対して法に基づいて厳しく処罰を与え、かつそれを法律・法規に従って重大な違法・信用失墜行為と認定すべきである。各商標審査協作センターは、法に基づいて関連事件を厳しく審査し、普遍的な指導的意義を有するか又は悪意行為の手口の巧妙化を反映する典型的な事例を速やかに報告すべきである。

四、代理機構への監督管理を強化させ、業界秩序を維持する

商標代理機構届出管理制度を厳しく実施し、代理従事者届出の実名制管理を強化させ、商標業務処理の署名制度を整備し、商標審査および審理と届出管理業務の調整・連動を深化させる。悪意による商標登録に関連した違法な代理行為が存在する事件の手掛かりを地方の知的財産権管理部門に転送するとともに、その集中的な調査・処理を組織し、情状が重大な場合は、商標代理業務の受理を停止する。インターネットプラットフォームの商標代理機構の総合的な管理を強化し、悪意出願のスクリーニング、悪意出願の告知、利益衝突の審査、オンライン出願の重複排除検証などの制度の構築・健全化を指導する。

各地方の知的財産権管理部門は、商標代理機構の監督管理を強化させ、注意喚起・面談、ヒアリング・是正、検査・監督、行政処罰などの手段によって悪意による商標登録に関連した違法な代理行為を取締まるとともに、行政処罰決定を社会に向けて公開すべきである。

五、信用監督管理を強化させ、共同懲戒を実施する

法律・法規に従って商標登録分野の信用監督管理を展開する。「市場監督管理における重大違法信用失墜名簿管理弁法』、「国家知識産権局による知的財産権信用管理規定』に従って認定された信用失墜主体は、管理期間において監督管理の重点対象としてリスト化され、商標登録出願における快速審査などの政策や円滑化措置を享受してはならない。法律・法規に従って、他の関係部門と重大違法信用失墜名簿の情報を共有し、重大違法信用失墜主体に対する共同懲戒を実施する。

各地方の知的財産権管理部門は、当地における信用評価業務の実施状況を踏まえて信用評価結果を十分に活用して分類管理を実施し、信用失墜主体を厳しく監督・管理すべきである。

六、協同・協力を強化させ、共同ガバナンスの合力を形成する

悪意出願に対する厳しい取締り共同業務体制の役割を更に発揮し、重大で難解・複雑な新規の事件を共同で研究・処理する。市場監督管理総局との意思疎通を密にし、商標をめぐる行政法執行監督管理協力体制を整備し、個別事件の処理督促、事件の類型化による指導などの方式によって、法執行の基準を統一し、取締りの効果を高める。行政・司法の有機的な連携を強化し、情報共有体制と重大事件の訴訟前意思疎通体制を構築し、権利付与審査基準、行政法執行基準及び司法裁判基準の一貫性を促進させ、行政・司法手続の連動による事件の大量処理の実現を推進する。商標料金基準を研究・最適化し、段階料金制度の構築を推進する。

各地方の知的財産権管理部門は、商標の件数を業務考課の主な根拠とすることを途絶させなければならない。助成、奨励などの任意の方式で商標登録（マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録を含む）出願行為に対する支援を提供してはならない。各地の実情に応じて、助成、奨励政策の取消日程表を制定し、これを厳しく実行するとともに考課内容に盛り込む。各分野の業界協会による商標登録に関する業界自律体制の構築・健全化を支援する。属地監督管理責任を実行し、悪意による商標登録行為の波及を厳密に、適時的に防止する。各商標審査協作センターは、地元の知的財産権管理部門と緊密に協力し、地元の市場主体が悪意による商標登録行為に従事する手掛かりを積極的に提供すべきである。

七、制度による保障を強化させ、政策の供給を整備する

「商標法」及びその実施条例の改正を持続的に推進し、商標代理関連の監督管理規定の公布を確実に推進し、「商標審査審理指南」の改正のための常態的な体制を構築し、法律・法規違反の代償を引き上げ、悪意による商標登録行為を取り締まるための法的武器と政策手段を継続的に充実化させる。

各地方の知的財産権管理部門は、商標に関する法律・法規の改正業務に積極的に協力すべきである。地方の知的財産権法の立法において悪意による商標登録行為を規制し、信用評価及び信用失墜懲戒体制の健全化、処罰の強化、迅速処理連動体制と地域法執行協力体制の整備、権利濫用の禁止などの手段によって取締りを強化すべきである。各商標審査協作センターは、「商標審査審理指南」の改訂・改善に積極的に協力すべきである。

八、積極指導を強化させ、良好な雰囲気を構成する

複数のルートと複数のプラットフォームを通じて法律・政策の解読を強化させ、典型事例及び違法な市場主体と代理機構を公布し、「ゼロトレランス」の明確なシグナルを伝え、高圧的な抑止力を形成し、市場主体と代理機構による自発的な自己調査・自己是正を指導し、悪意による商標登録行為を取締まるための常態的で濃厚な雰囲気を醸成する。

各地方の知的財産権管理部門、商標審査協作センター、商標業務受理窓口及び各種の知的財産権公共サービス機構は、複数の手段を通じて宣伝を広く実施し、市場主体、代理機構及び社会公衆が自発的に悪意の商標登録出願を拒むようと指導し、商標出願人が需要に応じた出願、真実な使用、合理的な保護という商標登録出願の正確な認識を確立するようと指導する。

国家知識産権局の各機関の関係部門及び商標局、各地方の知的財産権管理部門、各商標審査協作センター及び各地方の商標業務受理窓口は立場をさらに引き上げ、積極的な行動を行い、上下連動を図りながら確実に実行する必要がある。また、監督検査を強化させ、各業務を確実に推進され、実行に移され、且つ効果を上げることを確保すべきである。

ここで通知する。

国家知識産権局

2022年3月29日