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「評審案件中止事由に関する規準」の解説

发布时间:2023-06-13

「評審案件中止事由に関する規準」の解説


近日公布された「商標評審案件審査審理業務制度」において、評審業務の実態に合わせて「審査案件中止状況規準」が新たに盛り込まれた。商標評審審査員及び審査案件当事者の理解と適用を便利にするために、次のように解説する。


一、制定の理念及び考慮要因 

1、社会の関心に積極的に応える。正当な権利者に利する立場から、商標権の付与・商標権の確定に係る各行政手続、行政手続と司法手続の間における連携の欠如の問題、さら行政授権確権の各プロセス間及び行政プロセスと司法プロセス間の調整不足、情勢の変更、手続の無駄の繰り返し、案件から案件を生むなどといった審判の遂行に関する長期的な課題を解決する。正当な権利者は引用商標による障害が解消された後他人の先行出願を回避するために繰り返し出願したり、法律プロセスが重複したりするなどの負担を減らし、正当な権利者が商標専用権を取得するために本来は不要な制度的コストを低減する。商標法が設定した審理期限を正当な権利者が商標権を適時に取得することを促す立法の初心に戻ることを保証する。

2、司法プロセスの訴源治理の業務との連携。拒絶査定不服審判案件の当事者が拒絶決定に不服し行政訴訟を提起した場合、北京知的財産権裁判所は、引用商標の権利状態が確定していない一部の案件に対して、訴前調停措置を取っている。現在の統計によると、異議、無効審判の審理週期は一般的に拒絶査定不服審判より1~6ヶ月長く、三年間不使用取消審判の審理週期は一般的に拒絶査定不服審判とほぼ同じとなっている。このような時間差は訴前調停期間内に拒絶査定不服審判の引用商標の権利状態が変化する可能性が高いことを意味している。よって、拒絶査定不服審判を適度に中止することで、当事者、行政、司法の各方面の資源を節約することが非常に重要となっている。

3、法律及び規定に準拠。当規準制定の根拠は、現行の「商標法」第三十五条第四款、第四十五条第三款における登録を認めない再審及び無効宣告手続きに関する中止規定、現行の「商標法実施条例」第十一条における審理期限に計上しない状況に関する規定だけではなく、民事訴訟の審理中止状況と関連法律の規定、及び「商標法」の改正における拒絶査定不服審判中止プロセスを明確にするとの意見と「商標法実施条例」の第十一条の改正意見も参考にしている。 

4、実行の可能性を確保。本規準施行後、審理を中止する案件の割合が大幅に高まることが予想される。このような変化に応じて、評審案件のオンライン請求率が全面的に80%以上に引き上げられ、案件ファイルの保管スペースを確保した。また、当事者の意向を十分に尊重し、拒絶査定不服審判案件は中止するか否かは、案件の申請人が中止請求を提出することを必須条件とし(引用商標が悪意登録の嫌疑があり、登録審査員は自発的に中止する場合を除く)、審理の再開についても、原則として申請人が関連の証拠材料を提出して引用商標の権利状態が確定されたことを証明することを必須条件としている。ここでの中止請求は、必ずしも単独ので請求を基準とするものではない。引用商標の関連案件の審理の結果待ちが、拒絶査定不服審判に関する請求の理由の主たる内容の1つとなっているため、引用商標の関連案件の審理の結果や、審理が中止となった事件について審理を再開できるか否かについても、申請人は大きな関心を寄せている。 

5、基準の統一。従前は中止「することができる」と表現されていたため、実際の審理においてその表現が定まっていなかった。本規準では、統一が可能な中止の事由を、すべて中止「すべき」との表現に修正することで、審判時における自由裁量の余地を狭めた。


二、規準の具体的な内容

1、中止の原則。すなわち、「必須の場合」を原則とする。案件の審理の中で先行権利の確定などの事由が審理の結果に対して実質的な影響を及ぼす場合のみ、審理を中止する。他の評審理由または他の権利状態が確定した先行商標によって案件の結論を十分に確定できる場合は、審理を中止してはならない。  

2、中止の事由。本規準では、「明らかに中止すべきとする」七つの事由、具体的な案件の内容に応じて「中止することができる」三つの事由について規定している。「中止すべきとする」事由のうち、五つは拒絶査定不服審判、登録を認めない再審、無効審判の案件に広く適用されている。これらはそれぞれ以下のとおりとなっている。

(一)紛争商標又は引用商標が、登録人の名義変更、権利譲渡の手続中にあり、かつ、名義変更及び権利譲渡によって、紛争商標又は引用商標の権利の抵触が解消される場合。

(二)引用商標は既に有効期限を過ぎ、更新手続き中または更新猶予期間中の場合。

(三)引用商標は登録取り下げまたは出願撤回の手続きにある場合。 

(四)引用商標が取り消された、無効とされた、又は存続期間の経過後に登録更新の手続がなされず、案件の審理において取り消しとなった、無効となった、又は商標権の抹消登録の日から一年を経過していない場合。なお、拒絶理由が「商標法」第五十条に該当しないものは、中止する必要はない。「商標審査審理指南」に基づき、引用商標が継続して3年以上使用されておらず取り消しとなった場合には、「指南」に従う。

(五)引用商標に係る案件の結論がすでに出ており、その効力の発生待ちの段階にある、又は効力の発生した判決が執行され、さらなる裁定待ちの段階にある。

登録を認めない再審、無効宣告案件のみに適用される事由は一つがあり、現行の「商標法」第三十五条第四款、第四十五条第三款の規定と一致する。 即ち:

(六)関連する先行権利は、人民法院が審理している、または行政机関が処理している別の案件の結果を根拠としなければならない。 

拒絶査定不服審判のみに適用される事由は一つがある。即ち:

(七)関連する引用商標の権利状態は、人民法院が審理している、または行政機関が現在処理中である別の案件の結果に基づくものでなければならず、かつ、申請人が審理の中止を明確に請求している場合。

ここで、「正当な権利者に利する」との趣旨を最大限達成するため、引用商標の関連案件の申請提出時間と主体を区別しないことにする。しかし、拒絶査定不服審判案件の申請人は、中止に係る引用商標の登録番号、手続きの段階、本件との関係などの具体的な状況を明確に説明しなければならない。 また、中止すべきか否かは、前述の必須の原則を満たさなければならない。

「中止することができる」事由には三つあり、それぞれ次のとおりである。

(八)拒絶査定不服審判案件に係る引用商標について、すでに無効審判の請求がなされており、かつ、引用商標の登録者は他の案件において既に「商標法」第四条、第十九条第四款、第四十四条第一款等の「悪意による冒認出願」の事由を構成するものと認定されている場合は、審理を中止することができる。このような事由と、上述の事由(七)との違いは、「申請人によって中止の申請がなされること」を要件としていない点にあり、審査官は、具体的な案件によって中止すべきか否かを自主的に決定することができる。こうすることで、悪意による冒認出願の存在で正当な権利者が複数回にわたって商標出願をすることを効率よく低減でき、法的手続の完結などの課題を緩和することができる。

(九)案件の概要が類似する又は関連する案件の先の審決又は判決が下るのを待っている場合は、各案件の事情に応じて、審理を中止することができる。このような事由では、引用商標が必ずしも関係するわけではないため、「申請人によって中止の申請がなされること」を要件とはしない。しかしながら、行政による権利の付与・権利の確定の各手続、及び行政手続と司法手続の調和を図ること、審査・審理基準を統一すること、結論の矛盾によって引き起こされる手続の繰り返しを回避すること、当事者の負担を着実に低減することを目的とし、審査官は、具体的な案件によって中止するか否かを自主的に決定することができる。

(十)その他の「審理を中止することができる事由」。法的手続が尽きない事由については、「必須」及び「正当な権利者に利する」ことを原則にし、上述の事由を参照しながら、審査官は、具体的な案件によって中止するか否かを自主的に決定することができる。 

3、中止の手続。本規準では、中止の申請にかかる期限、フロー、中止の事由が解消した後の審理の再開について必要となる条件などを明確に規定している。正当な権利者の利益を確保しつつも、効率、公平性、商標の登録に関する秩序の安定性に配慮し、審査官は案件についての審理中止を請求するにあたり、所定の期限内に請求を行わなければならない。拒絶査定不服審判の申請人は、遅くとも拒絶査定不服審判を請求した日から起算して三か月の証拠資料の補充期間内に、商標の権利化を阻んでいる引用商標を排除するために講じた措置について、書面で説明しなければならない。 

上述の事由(七)において、拒絶査定不服審判案件の申請人に対し、審理の中止を明確に請求することを要求されている場合は、拒絶査定不服審判の請求の理由と併せて請求してもよく、審理の中止の請求では、それに関連する引用商標の登録番号、手続の段階、本案件との関係など具体的な状況を説明する必要がある。原則において、審理の中止の取り下げは、中止を請求した者が行う。引用商標の権利状態が確定した後、申請人は、それに関する証拠資料を提出し、審査官は申請人の補充証拠を受け取り、中止の事由が解消されたことを確認したのちに、審理を再開する。


上記の各中止の事由が解消されたら、審査官は、評審時の事実に照らして審理を行い、所定の期限に則して案件の審理を終結する。


今後における商標評審案件の審理では、「評審案件の中止事由に関する規準」の各内容を厳格に遂行していく。且つ、実際状況に応じて規準の内容を補完していき、権利の帰属の特定によって紛争の解決を図るという行政手続の役割を果たし、行政資源と司法資源の配分最適化を着実に行う。正当な権利者に対する商標権の付与と商標権の確定に係る行政手続の負担や、訴訟に係る負担を低減する。民の呼びかけに応え、民意に寄り添い具体的に業務を遂行し、商標にまつわる業務をよりハイレベルで発展させていく。  

(ライター:段暁梅)


出所:国家知識産権局商標局ウェブサイト

https://sbj.cnipa.gov.cn/sbj/ssbj_gzdt/202306/t20230613_27700.html

※「評審案件の中止事由に関する規準」自体は、外部公開されていない。